読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

あまかけるの巣

今はうんちでも化石になるから。

映画を一本撮り終えました

 2日前になりますか、一本映画を撮り終えました。私の怠惰なスケジュールのせいで、2月から撮り始めて長々と7月終わりまでかかってしまいました。制作陣の皆様ご迷惑をおかけしました。。。

 

 題名を「トリック・ラダー(まやかしのはしご)」と言います。極度の暗黒の映画です。おもしろくはないです。笑えないです。ジャンルもめちゃくちゃです。分類不可能です。中二病…とまでは行かなくても、暗黒映画です。

 ただ、撮っていて(これが初の自分監督の映画だったこともあり)いろいろ分かったことがあるのですが、とにかく「このようにしか私には撮れないのだろうな」という手応えがありました。映画といえば、だいたいの枠組みがあって(起承転結など)そこそこストーリーに映画の方から引き込んでくれるものが多いと思いますが、どうも私はその手のものが撮れない(本当はしっかり基礎を身につけるために通らなければならないステップなのですが)。だから映画監督として「食っていく」のは難しいかなあと思ったり。

 

 「浮き雲」というロシア映画をご存じでしょうか。感覚としてはこの映画のイメージを体得したような気になっています。この映画も、とある名画座のオールナイト(深夜上映)で偶然見た映画なのですが、私にとっては奇跡的な映画でした。この映画がいつの時代を風刺していて、どんなメッセージが込められているのかは分かりませんが、この感覚が私の撮れる映画の「型」のひとつだなあと感じました。

 これも重々しい映画、というジャンルの中に入ると思うのですが、これくらい重いと伝わってくるものがしっかりしている。その映画が作られた背景や撮影技法などの基礎知識が無くとも、「雰囲気」が伝わってくる映画ってありますよね。そしてその「雰囲気」がメッセージそのものであったり。そんな映画です。

 

 

 この「雰囲気」で何かを伝えようとする映画。ハードルを下げればそのような動画。これって動画という発明で最も生かすべき点だと思うのです。登場人物がカッコイイセリフを吐く、のなら、演劇でもいい。街の景色を写すのなら写真でいい。けれど、それらが融合して存在するのが映画。ここを生かしたい! ということを念頭に「トリック・ラダー」も撮影しました。

 

 「雰囲気」を伝える動画を作るのは、まったく難しいことではありません。素晴らしい機材がなくても、輝かしい基礎知識がなくても、本当は誰にでも撮れるものです。でも、カギカッコつきの「商業映画」には欠けているものです。

 YouTubeやPeriscopeなど、「イマ」を動画で伝えようとする人は増えています。TwitterFacebookなどの「文字」だけのコミュニケーションよりも、動画で伝えた方が分かりやすいこともある、と。動画共有サイトを除けば、その街やイベント会場の「雰囲気」が伝わってくる動画はたくさんある。それを映画でも再現すればいいのに、と口より先にじゃあやってみよう、と。

 

 映画研究部内では「まったく意味が分からない」と酷評され、一部の方に賞賛いただくなどだいぶ二分化した感想をいただきました。それだけ「理解しづらい」映画だったのだろうと内省しています。もちろん「今までにない映画を撮りたい!」という気持ちもあったけれど、核としてあったのは「雰囲気」そのものを作り出したかったという気持ちでした。

 

 

 何はともあれ撮っててとても楽しい映画でした。制作陣になってくれたみんなも車でうろうろ電車でうろうろに付き合っていただいて本当にありがとうございました。あとは編集作業に入ります…ぶくぶく……。

 

 

P. S. どうでもいいこと

 今回の「トリック・ラダー」で伝えたかったメッセージなんかを、私はこのブログで後々公開しようと思っています。こういうことを「言葉」で伝えることを「野暮」と思う方もいらっしゃることは承知ですが、私は映画を音楽や小説などと同じ形の芸術であると考えています。

 音楽や小説関係のインタビュー記事を読むと、作ったアーティストさんや作家さんが何を伝えたかったのかを語っていることがあります。でもそういうの、あんまり映画では見ないですよね(私が見ていないだけかもしれませんけど)。それって、すごくいいことだと私は思ってます。だって、言葉では伝えられない「雰囲気」って音楽や小説にも絶対にあるし、いくらその作品について自分が「核」のメッセージを言葉で説明しようとしても、作品から伝わってくるものは絶対に違う。

 私は自分の作品を見てくれた人にはそれぞれ自由な解釈をしてほしいと思います。むしろそれを強制しようなんて思いもしない。けれど、「私としては」こういう解釈をしていますよ、というのを公開してもいいんじゃないかなあというスタンスです。

 知人の皆様には頃合いの良いころにおすすめさせていただきますので、そのときはよろしくお願いいたします。