あまかけるの巣

今はうんちでも化石になるから。

価値を感じる、とは/カントーショートトリップ【ベトナム滞在11日目】

 4:30にばっちり目が覚め、今日はいよいよと着替えをする。小学生のころに友だちから教えてもらったおまじない。「まくらさんまくらさん、明日は4時半に起こしてください」と言って、まくらを4回半叩く。今でも本当にきっちり起きたいときは使っている。ちゃんとそれなりの睡眠時間があれば、ほとんどの場合成功する。
 
 6時過ぎに家を出て、探索も兼ねて集合場所の5区のバス会社まで歩いていく。自分のしばらくいた地区を離れると、違う地区に来たというのが感覚的に分かる。ファミリーマートでパン(添加物の甘さ、うまい)、午後ティーキットカットとウインナーを買って、少しずつ食べながら歩く。
 途中、道端で新聞を売っているおばちゃんに、バイクに乗ったおじちゃんが近づいていくのを見る。おじちゃんが来るのを見たおじちゃんは何も言わずにひとつ新聞を選んで渡し、おじちゃんも何も言わずにお金を渡す。要はただの常連のお客さんなのだけれど、なんとなくいいなあと思った。
 
 バス会社に着いたころには、いつの間にか集合時間ギリギリに。みんなバスに乗り込む模様。これからカントーに行くのかあ…と心の準備をしていると、これはカントーに行くバスではないとのこと。ん、じゃあどこまで行くんだ。きっつきつに詰められた挙げ句、バスが着いたのは道路を挟んで反対側のバス会社の建物。どうやら、本当にみなさん歩きたくない、歩かせたくないらしい。それくらい真ん中のポールまたいでいけよ…と思う。
 それからまたきっつきつのバスに詰められ、カントーに行くバスターミナルまでの送迎。なかなか長い道のり。途中、自分のホテルの前を通るバスを見かけた。
 
 いよいよカントー行きのバスがやって来る! ところがバスを見ると唖然。寝台列車のような座席。いや、寝台ではない。元々リクライニングするのが前提になっている座席。はじめっから寝っ転がるようにできている。しかしまっすぐ伸びることはできない。むしろ疲れそうだ。
 案の定、疲れた。
 
 バスの中で、眠ることもなく外を眺める。移ろいゆく景色、少しずつ都会が田舎に変わっていく。田んぼのあぜ道を走りゆくオートバイを見つける。長めに生えている一本草を横目に過ぎて、マスクをつけたお兄さんが黙々と走る。そりゃあ、オートバイの方が車より利用価値高いよなあと思う。こんなところを車で通るのは不可能だ。ではなぜ、日本では車が多いのか(目立つほどオートバイが多くないのか)。軽トラに抜かれたのだろうか。田舎の「移動事情」に興味が湧いた。
 そして、オートバイがあぜ道を走る、それが懐かしい構図のようにも思えてくる。
 
 
 
 広大に広がる田んぼの中に、白いコンクリートでできた箱のようなものが見える。教会でも同じような箱を見かけた。墓だ。自分の持つ田んぼの真ん中に、先祖の墓を建て祈る。それで、田んぼを守ってもらおうということなのか。それとも土葬が主流のベトナム、そこに先祖のご遺体を埋葬することで少しでも肥やしにする…という一見非道徳だが賢い選択の末なのか。私の故郷にも、そういえば同じような墓があったなあと思い出す。
 
 
 12時過ぎ、カントー中心部に到着。ホテルを自力で探す。手分けして何軒かのホテルを回り、最もコスパの良い宿を選択。Wi-Fiもある。言うことなし。
 自分の部屋に入り、布団にダイブ。ひといきついて、さてインターネットに繋ごうかと思うが、パスワードが分からない。パスワードらしきものを見つけるも、失敗。フロントまで行こうかとエレベーターに近づいていくと、掃除をしているおばさんがいる。おばさんに聞く。「これこれ! これと同じ同じ同じ!」と、なぜか部屋のカレンダーに印字されてある数列を指さして、これを入力しろという。入力すると、つながった。その数列が、このホテルの電話番号と一緒であることに気づくのはもう少し後のことだ。
 
 あたりを散策しようと、街に出る。しかし雨。どうやら通常の雨季にはない長めの雨のようで、なかなか止む気配がない。濡れながら当てもなくうろうろしていると、ホテルのすぐ側に大きめのスーパーを見つける。小さいイオンのような、スーパー併設のこじんまりとしたショッピングモール、といったところか。
 スーパーの中に入り、そういえばベトナムに来て以来初めてのスーパーだということに気づき、かなりはしゃぐ。水が3,800ドン(約20円)、ウインナーパンが5,000ドン。ウインナーパンをひとつ買う。
 こんな感じでスーパーは利益が出るのか? と本当に不思議に思う。しかしベトナムの平均年収を日本の約4分の1と考えると、水は感覚的には80円。卵は感覚的には800円。ううん、高い。
 
 そのスーパーの中に、ハイランドコーヒー(HILANDS COFFEE)を見かける。そういえばまだハイランドには行ったことがないと思い、カントーに来てまでとは思いつつ入る。もちろんミルクアイスコーヒーをラージで。これでも300円にとどかないのがすごい。
 中はいっぱいだったので、外の席に座ることに。ゆったりしていると、本当にいろいろなことが分かってくる、起こるものだ。
 私のすぐ隣の空いていた席に、制服を着たままのスタッフが陣取る。そこで財布とファイルのようなものを取り出したかと思えば、どうやら売り上げ確認のようだ。事務所でやれよ…と思いつつ、ウチとヨソの関係がないのかなあとも思う。席が空いてるんだったら誰が使ってもいいじゃないか。確かに。
 
 その後、カントーの謎の飲み屋でたらふく食べ、ホテルに戻り睡眠。なんだかんだ10時半くらいまで起きていたから、睡眠時間は5時間半。ううん、眠い2日間である。
 
カントーショートトリップ・12日目に続く)