あまかけるの巣

今はうんちでも化石になるから。

うまくいっている【ベトナム滞在3日目】

 起きたのが7時。「やった! 間に合った!」と思いながらすぐさま身支度をして念願のタオダン公園へ。昨日もお昼過ぎに行ったけれど、Mì xo bò.(牛肉と空心菜を入れた焼きそばみたいな卵麺料理)が売り切れてたんです。この時間ならバッチリあるだろうし、なんなら鳥たちもチュンチュン言ってるだろうと、ひとり歩いて公園へ。

 予想通り1年前と変わらない様子で、公園は鳥カフェとして賑わっていました。昨日来たのを覚えてくれていたのか、1年前にもいたお兄さんは私を見るなり「sa đà?(アイスミルクコーヒーか?)」と聞いてきました。「D. Và mì xo bò.(うん、あとミーサオボーも)」と去年覚えたそのまんまのベトナム語で返す私。

 懐かしのミーサオボーに(たぶん)醤油をかけて味濃いめにして喜んでいる私のところに、去年私がお話を伺ったHoa(ホア、花)さんが! お花さん! ホアさん! 私を見るなり目をきらっきらさせて「あ~!」と駆け寄ってくるホアさん。ホアさんはこのカフェで物売りをやっていて、いつもライターやらセンスやら小物をたんまりと持っているのです。私も「あ~!」と言いながら肩を叩いて再会を喜び合いました。このときほど「また会えて嬉しい~!」とか「覚えてる私のことー?」とかをベトナム語ですっと言えるようにしとけよバカ!と思ったことはありませんでしたね…。”Nice to see you again!” すらとっさに思いつかず、「あー、あー♪」でお互い通じ合わせました。ちょうど香港の空港でガスライター(火の出がいいやつ)を没収されていたので、ライターを買いました。私がライターを買うと勇ましい後ろ姿を見せながらカフェを後にしていきました。

 

 1年前にも似たようなことを書きましたが、このカフェの様子からは、この街のしくみ(?)をほんの少しだけ垣間見ることができます。カフェにいるのはだいたい30~40歳以上の人々。若い人もちらほらいますが、同じくちらほらいる外国人の数とそう変わりません。彼らはだいたい夫婦と思わしき男女2人、家族(この場合はお子さんを連れてきていますね)、スーツを着ている会社員仲間5,6人、おじさんおばさん&おじいさんおばあさん仲間たちという感じです。多くの屋内のきれいなカフェではあまり見かけない客層です。年配の方ほど新聞をよく読んでいるようにも見えます。

 その間を、時折靴磨きの少年、ハンドルを前後ろに動かして運転する車椅子に乗った、両足のないおじいさん、おそらく公園内で捕まえたんであろうフェレットのような動物を白い網いっぱいに持ってきたおばさん、宝くじを持った人々がそれぞれ寄付をもらったり物を売ったりします。

 これは勝手な推測ですし、これが良いことなのか悪いことなのか判断する権利は私にはありませんが、少なくとも今のところこうやってこの街は回っている、やっていけてるんだろうなと思います。いろんな職をやっている人たちがいて、この街が回っているんだなー、と。

 

 さて、タオダン公園の空気に浸り、鳥かごの絵を描いてみたりなんたりしながらボーッとしてから、今日のクエスト「SIMを契約しに行く」を始めました。まずはタオダン公園の前にある大手通信会社mobifoneの小さな支店へ。事前に先生とネットから伺っていた、BMIVというデータ通信のみ、通話・SNS不可、30日3GBで20万ドン(1000円!)のプランがあるか、直球で聞いてみると「ない」。通常のチャージ式のSIMしか置いてないと言われたので、次のmobifoneの支店に行くことに。

 とはいえあてはなく、ぶらぶら中心街の方へ歩いていると、出た出たコイツもお久しぶり、バイタクの兄ちゃんが寄ってきました。見覚えがある顔、向こうも見覚えがあるようで、欠けた歯を見せながら笑顔で近づいてきました。私、バイタクの兄さんって、断るのは簡単なんだけれど、無視するのは難しいんです。これからmobifoneに行ってSIMをゲットするんだ、と言うと、10万ドン(500円)で1区の中心街にある本社に連れてってやるよ、しかもSIM契約手伝ってやるぜ!と言われました。とはいえここは金のない大学生、そもそも本社に行くなら英語通じるし契約なんざテメエでやるわ、と思い、まずはきっちりノートを取り出し(前回の滞在で学びました、言った言わないの証拠取りのためです)10万ドンと大きく書く。バトルスタートです。

 

 「SIMの契約は自分でやる、僕はステューデントだから、ステューデントプライスがほしい。下げてくれ」「OK,OK. 今は朝だ、ステューデントプライスにしてやるよ」「いくらまで下がる?」「8万ドン」「だったらタクシーで行った方が安いよ、しかもタクシーには冷房がある」「わーったわった、いくらがいいんだ?」「4万ドン(200円)」。目を丸くされました。「あぁ…」と肩を落として露骨にヤな顔をされたので、さすがに交渉決裂かと思い去ろうとすると引き留められ、「5万ドン」「No, 4万ドン」「……OK, 4万ドン。乗れ」。自信がつきました。ちなみに走行距離はおそらく2kmくらいなので、タクシーより少し安めです。その程度っちゃあその程度ですが、着いたときに、肩を持ってごめんね顔をしながら「You are good driver;)」って言うくらいには少しだけ強くなった自分にうぬぼれてました。

 

 かなり待ちましたがSIMカードを契約しました。昨日学んだ、「適当に『はい』と言わず、分かるまで聞き直す」原則を守って英語を話すと、受付の方も簡単な単語を選んでくれたりして分かりやすく伝えようとしてくださいました。他人は自分の鏡…うん、確かにそうかも。

 契約したSIMカード、きちんと受付の方と対話をしたおかげで、データ通信のみ(通話・SNS不可)、20万ドンで30日以内でなんと20GBまで使えるプランを契約することができました。20GBを超えてしまうと一切データ通信ができなくなるというのが少しだけ心配ですが(BMIVでは3GBを超えると速度制限がかかるものの一応つながる)、最終日まで余裕を持って使えばいいわけですからね。だって私の滞在日数が3週間=21日ですから1日1GBも使えるんですよ! それでSIMカード代含めて25万ドン(1250円)! 日本の訪日外国人向けのSIMはここまで有能なのか…?

 実際20GBも屋外で通信することなんて絶対にないのですが、多いに越したことはない。ほくほくしながらmobifoneを後に。

 

 そこで第一スコール。と同時に、どうもタオダン公園の冷たいCà phê sa đàがおなかに来たようで、おなかが痛い。実は昨日飲んだときも同じようにすこしおなかを痛めたので、悲しいけれど少し控えた方がいいかも。とにかく近くのトイレがありそうなホーチミン郵便局へ。ここは現在も郵便局として運営されているのになぜか観光スポットという不思議な空間。警備員さんに「トイレあります?」と聞くと「この中にはない。出て右行ってマックに行ってくれ」と言われました。このときの会話、英語で「There is no toilet here, go to outside and turn right and Mcdonald.」だったんですが、最後の「Mcdonald(メクドーノー)」がどうも「I don’t know.」に聞こえてしまい、「外出て右行け、あとは知らん」という意味なのかと一応お礼を言いつつ頭にいっぱいはてなマークを浮かべながら「Mcdonald」の看板を見て気づきました。紙を2000ドンでもらいすぎるほどもらって済ませました。

 

 少しぷらぷら歩いて、11時半くらい、そろそろ暑くなってくるし、どこかに入ろうと思い、カフェを探して見つかったのがコーヒーとパンを売っているお店。そこで1時間ほどダラダラしつつタオダン公園の感想をまとめつつネットで情報収集しつつ。ホテルに戻り、引き続き1時間ほど続きをやってから、5時半ごろ、夜飯食うかと外へ。今まで中心街の方にしかほとんど行ったことがなかったので、中心街から離れる方向を散歩しつつお店を探すことに。

 いつも歩いている道より少し道路が狭く、歩道を歩く私のすぐ右横をバイクがビュンビュン走っていく感じ。バイクがすれすれを通るのは一向に構わないのですが、バックをすられないか心配心配。ぐっと力を入れてバックを握りしめながら、なんとなーく勝手に視線を感じながら歩くこと20分。

 

 大きな大きなお寺が出てきました。

 どうやら工事中のようで、周りは仮の壁に覆われています。よく見ると本堂と離れは通常のようで、仏塔をひとつ建てるための工事のようでした。というわけで怖じ気づきつつ、「あー、追い返されるかも、追い返されるかも!」とドキドキしながら中へ。階段をふたつ上がると人で大賑わい。奥に金ピカの大仏! ピッカピカ! そして大仏の御前に少しスペースがあり、そこには坐禅のときに使う丸い座布団の赤いバージョンが規則正しく並べられてあります。おそらくあそこにお坊さん達が座るんだろうな…。そしてそのエリアの手前にはずらーっと薄い青紫色の袈裟を着た一般参拝者の群れ(語弊あるかも、すみません)。皆さん各々大理石の上に裸足で上がり、祈っています。スピーカーからライブでお経が読み上げられています。

 見たところ、95%女性のおばさんでした。ごく稀に若い人、あるいはおじさまがいるくらい。皆様立ったり座ったり跪いたり頭を地面にこすったりしながら各々祈る。この動きだけを見ると、日本の礼・拍とは全く違う、どちらかと言えばイスラームの礼拝のやり方に似ているなあと思います。

 

 私は後ろからこっそり写真を撮ったり、お経が珍しいので集音したり堪能したりしていたのですが、突然それまで各々祈っていた皆さんが全員起立。どうやら奥のエリアにお坊さんが来たようです。黄色い袈裟を着たお坊さん軍団登場です。そのとき、私の近くにいたある女性が「こっち来なよ」と言わんばかりの手振りをしてくれたので、靴を脱いで上がることに。

 

 そこからは本当に、「うわあ自分すごいことやってる」と思いながらの体験でした。皆さんが一斉に同じお経を唱え始めたのです。手招きしてくれた女性が持っていたお経のテキストを見せてくれました。それを見ながら一緒に唱える…。しばらくするとテキストを配りに女性が来たので、テキストを受け取り、今どこかを教えてもらって必死についていく。Namは「南無」のことだろうか…、ここらへんのリズム面白いなあ…、と頑張ってとてつもない速さで読み上げられるお経を一緒に読む。20分くらいでしょうか、先に進んだようで、また見失い、女性に教えてもらい、また見失う…を繰り返していたら、皆さん一斉に立って、祈りの言葉を斉唱しながら何度か一斉に跪いてお祈りを始めました。ひとりだけ突っ立っていたら目立つやつ。というわけで、人生初の跪き礼拝です。ううむ、確かにありがたい、かも。

 必死に皆さんを見よう見まねしていたら、いつの間にか終わりました。合計1時間! お坊さんがバックステージに戻り、終わった瞬間おばさま方の井戸端会議スタート。さきほどの女性にお礼を言いつつ、「実は日本人なんだ」「ブッタを拝みに来た(←適当)」と言うと目を丸くされました。あ、分かってなかったんだ笑、と思いながらにこにこしてお礼を伝えました。

 ところがお経を読み上げている間に第二スコールが来ていまして。本降りは過ぎたようだけれどいまだ帰れる気配なし。「まあ、座りなよ」と身振りで女性に言われ、少し話をしてみることに。さっそくデータSIMの出番! Google翻訳アプリで「毎日ここでお祈りをしているんですか?」と聞くと、そうだ、と。彼女がベトナム語をタイプすることができず、彼女が何と言っているのか分かりませんでしたが、ベトナム語の「2(hai)」だけは聞き取れました。ということは、朝と夜ですか?と聞くと少し違うみたい。最後まで意味が分からず、そうこうしているうちにスコールが弱まりタイムアップ。「とても」ありがとうの言い方をど忘れしていたので、「Cám ơn!」と叫んで90度お辞儀をしたら笑いながら手を振ってくれました。とりあえず気持ちは伝わったそうで合格。

 

 そこから弱まったり強まったりするスコールに打たれつつ、さきほどの寺の余韻に浸りつつ、店を探しながら帰路へ。Ph(フォー)のお店を見つけ、そういえばまだフォーを食べてなかったことに気づき中へ。72万ドン(360円)で食後のペプシコーラ付き。どうにも薄味なのですが、おなかが空いていたこともあってとてもおいしい。こりゃ明日もフォーかも。

 

 

 昨日「絶対バイタクには乗らない」と言っておきながら乗ったり、少しだけ行ったことのないところに行ってみたりして大きな収穫を得て、やっぱりまだまだホーチミン、分からなんだ、と思った1日でした。

 眠い。寝ます。